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背中に腕を回すと、寝汗をかいていた。 お風呂、入れてくるね。 そう言って彼の腕から抜け出した。 軽く洗って、それからお湯を溜めた。 体を見ればあちこちに痕が着いて、皮膚が薄くなっているのかなんなのか解らないけど、何故かヒリヒリした。 ベッドへ戻ろうと脱衣所へ出ると彼が立っていた。 150のあたしと183の彼。 見上げなければ目線が合うことはない。 腕を掴まれベッドへ押し倒された。 耳元で囁かれたのは、生まれて初めてのプロポーズだった。 なぁ、俺と結婚せぇへん? 俺はお前が二十歳になるまで待たれへん。 お前が二十歳になったら俺は三十やからな…まだまだ若いお前が俺と結婚したら学ばなあかんことも学ばれへんくなるかもわからん… せやけど待たれへん。 二十歳のお前が三十のおっさんの嫁にはなってくれへん気がすんねん。 誰にもやれんから、お前は俺のものでいろ。 なんとも自分勝手な…それでも全部が全部ほんとの事を話してくれた。 口下手で伝えてくれなきゃわからない事をいつも口で言わない…そんなヤツだった… こうして口にしてくれたこと…それだけで嬉しかった。 あたしの事、好き? 女の子は相手の気持ちが気になっちゃうから… そんな質問も、彼は 当たり前なこと聞くな。 そう返す。 だから好き。 軽くない口、おしゃべりなクセに大事な事は伝達してくれない。 だから好き。 ホテルに入る前も手を繋ぎながら歩いた。 正直寒かった。 でも、あたしより冷たい手のクセにあたしに寒くないか?と聞く彼に、あたしは寒くないと答えた。 こんなにも、人を好きなっていいのかな… 他人を大事と思っていいのかな… まだまだガキだったけど、彼を好きじゃないって思ってた。 それがなにか、どんなものかわからないけど…愛してるってことだったのかもしれない。 そして彼もまた、好きとは言ってくれなかった。 好きって言うのは電話だけ。 目の前に居るときは愛してるだった。 酔狂な男だったのかもね…10も離れた女の子に愛してるだから… もっともっと素直だったら…あたし可愛かった? 素直になったらきっと、お嫁さんにしてって言えたのになぁ。
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