7月19日。

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7月19日。

久しぶりだね。 届かないメールや手紙を書くのは何度目になるんだろ。 もう、強がったりしないから。 正直な気持ちだけ伝えたい。 ばかったれ。 最後まであたしにサヨナラを言わせなかった。 大事なこと口で伝えてくれなかった。 あたしをドMにしたこと。 ありがとう。 自信がなかったあたしの背中に立って、支えてくれたこと。 初めてプロポーズしてくれたこと。 貴方の彼女になれたこと。 愛してくれたこと。 毎年誕生日にお花と電話をくれたこと。 ごめんなさい。 あたしがまだ子どもだった。 素直になれなくて。 あの時、キスしなかったこと。 指輪を受け取らなかったこと。 短いはずなのに、思い出ばかりが溢れ出してしょうがない。 今でも鮮明に思い出してしまう。 茶色いくせっ毛、少し厚い唇、変に優しい所、ヤキモチを妬くと喜ぶとこ… 可愛くて、格好良くて、彼女の欲目かもしれないけど…全部好きだから。 命を閉じた貴方へ。 愛してます。 こんなにも弱い女じゃなかったけど…今は貴方と死にたいと思いました。 明日が来ることより、今が楽しいより、明日がなくなってしまった貴方と一緒に居たい。 好きな人もできて、やっと毎日が訪れてたのに… いなくなった 壊れた 死んでしまった 昔こんな話したね。 あたしと子どもが溺れてて、1人しか助けられないの。 どっち助ける? 大半はお前だよ。とか、子どもかなぁって言うのに貴方は違った。 子どもなら誰か助けてくれるやろ? そんな場面になってしもたら俺はお前と死んだるわ。 的外れだけど、愛しかった… 退き際の潔さ… 貴方のような人はもう出逢えないかもしれない、だから一緒に死にたかった。 鼓動を打つ心臓が憎い… 今の貴方とあたしの一番の相違点。 またお互い生まれ変わって、また出逢えたら、死ぬときも生きるときも一緒がいい。 おやすみなさい。 寝起きの悪い貴方だからきっと誰も起こさないよ。 おやすみなさい。 大丈夫。だって貴方はあたしの宝物だから。 おやすみなさい。 進。
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