114人が本棚に入れています
本棚に追加
スノ宅からの道すがら、セツは空を見上げた。
別れた時よりも雪の勢いは増し、塀や踏まれていない道の端にはうっすらと、白く色づいている。
セツは借りたマフラーを鼻まで巻き直し、息を吸った。
ふいに、スノの匂いがした。
――ねぇ、セツくん。好意のない善意は存在すると思いますか?
――コウイのないゼンイってのがよくわかんないけど……。
――つまりね。スノードロップは雪に色をあげることによって、もっと親密になりたかったんですよ。
雪に自分のことを知ってほしかったんじゃないですかね。
雪が降るたびにスノードロップを思い出すように。
――きっとスノードロップは雪に恋をしてたんでしょうね。
――ふぅん?
恋や想いなんてまだ子供のセツには、曖昧すぎてよくは理解なんてできなかった。
けれど――、
最初のコメントを投稿しよう!