無 色

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  見上げたスノの微笑みはいつでも穏やかで、誰にでも優しい態度をとる姿は、少しだけ嫉妬してしまうけれど。 「…………」 自分を心配してくれるその想いやりが、初雪の淡い一片のように、セツの心にしんみりと沁みたのだった。   (……あぁ、そっか。スノードロップが雪に色をあげたのはこういうことか) セツは先ほどの自分の言動に少しだけ恥じた。 誰かのために何かをしてあげる想いは、眼に見えるものではない。 けれど想いを受け止めるということは、心に響くことなのだ。 雪は自分の一部を分けてくれたスノードロップの想いに、 無色だった心が染まったのだ。  
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