無 色

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  **** 「それがスノードロップだったのです」 「ふーん。なんでスノードロップは雪に色をあげたんだろうね」 「そうですね。きっと冬の寒さで周りには話し相手の花がいなかったんでしょうね。スノードロップにとって誰もいない冬は、雪の方が親しみが湧いたのかもしれませんね」 「でもさ、色ってどうやって分けるんだろうね。分裂?」 スノはセツの子供らしい想像力に軽く微笑んだ。 「どうでしょうね。でも自分の一部を分けてくれた行為に、雪はきっと嬉しかったでしょうね」 見ず知らずの誰かが、自分のために優しくしてくれた。 ただそれだけで、人は嬉しいのだ。 「うん。そうかもね」 スノがセツのために淹れてくれたおかわりの紅茶の湯気が、ほわりと揺れた。 気がつくと、町内で帰宅時間を知らせるアナウンスが流れていた。  
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