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「初めてメールくれた時…何で名乗らなかったの?」
すると雪人は自分の考えていた事をゆっくり説明してくれた。
「小春は僕の事を知らなかっただろ?それに…周りの奴らの僕の印象は良くはなかった。きっと、いきなり僕からメールが届いても心を開いてはくれなかった。ちゃんと知りもしないで拒絶されたくはなかった。だから、名乗るのをやめたんだ…。小春なら分かってくれると思ったから。それに…僕はあまり人とコミュニケーションを取るのが得意じゃない。小春もだろ?だから、仲良くなるにはメールや手紙みたいな文章の方が得策だと思った」
それを黙って聞いていた小春の言葉を待つかの様に、雪人は無言で小春を見つめた。
小春は緊張しながらも口を開いた。
「…ありがとう。私の事、良く見ててくれたんだね。おとなしいし、存在感ないのに…」
そして穏やかな時間が流れる。
ポカポカとした日差しに、遠くから聞こえてくる生徒達の声。
隣には雪人の存在があって。
幸せだと思う。
…私、知らないうちにこんなに井関君の事好きになってたんだ…。
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