6, アンインストール(長)

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    ヒロって誰?         ヒロは恵美の彼氏。         じゃぁ、やっぱり僕がヒロだ。         いや、違う。僕はヒロなんかじゃない。       でも僕も彼女を愛して、そして彼女に愛されている。        でも、僕はヒロじゃない。          じゃぁ、僕は・・だれ?         「恵美、教えてくれないか?僕は誰なんだろう?」       僕は力一杯、彼女の両腕を掴んで離れようともがく彼女をひきよせました。     「何いってんの?頭おかしいんじゃない?あんたが誰かなんてしらないわよ!」      「僕は沢山、キミのことを知ってるんだ、キミの好きな服の色や、キミが喜んだときにする癖、脇の下のホクロまで知ってる。なのにキミが僕を知らないなんておかしいだろ?僕を知ってくれないか?僕は誰なんだろう?ねぇ、僕の目をみてよ」         「やだっ、本当に気持ち悪いわよ!もぉっ!離してよ!」            ボコッ!!     その瞬間、僕は何が起こったのかわかりませんでした。     体の力が抜け、息が苦しくなり、股の間を抑えながら僕は倒れ込みました。     そして、足元の段差に躓き、大袈裟に転がりました。    そのすきに、走って逃げようとする恵美の背中を僕は目で追いました。     「まって!逃げたって無駄だよ。僕は、キミのことを何だって知ってるんだから」     僕は立ち上がって彼女の後を追いました。           待ってよ。恵美。           前まではあんなに愛し   てくれたじゃないか。           どうして逃げるの?               ほら、この川沿いの道。       覚えてるだろ?         キミのほうから僕の手   を握ってくれたじゃな   いか           2人寄り添って歩いて           そして、ここで初めて       僕たちは           キスをしたんだ。           キミはそれも忘れたの?    
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