529人が本棚に入れています
本棚に追加
ヒロって誰?
ヒロは恵美の彼氏。
じゃぁ、やっぱり僕がヒロだ。
いや、違う。僕はヒロなんかじゃない。
でも僕も彼女を愛して、そして彼女に愛されている。
でも、僕はヒロじゃない。
じゃぁ、僕は・・だれ?
「恵美、教えてくれないか?僕は誰なんだろう?」
僕は力一杯、彼女の両腕を掴んで離れようともがく彼女をひきよせました。
「何いってんの?頭おかしいんじゃない?あんたが誰かなんてしらないわよ!」
「僕は沢山、キミのことを知ってるんだ、キミの好きな服の色や、キミが喜んだときにする癖、脇の下のホクロまで知ってる。なのにキミが僕を知らないなんておかしいだろ?僕を知ってくれないか?僕は誰なんだろう?ねぇ、僕の目をみてよ」
「やだっ、本当に気持ち悪いわよ!もぉっ!離してよ!」
ボコッ!!
その瞬間、僕は何が起こったのかわかりませんでした。
体の力が抜け、息が苦しくなり、股の間を抑えながら僕は倒れ込みました。
そして、足元の段差に躓き、大袈裟に転がりました。
そのすきに、走って逃げようとする恵美の背中を僕は目で追いました。
「まって!逃げたって無駄だよ。僕は、キミのことを何だって知ってるんだから」
僕は立ち上がって彼女の後を追いました。
待ってよ。恵美。
前まではあんなに愛し
てくれたじゃないか。
どうして逃げるの?
ほら、この川沿いの道。
覚えてるだろ?
キミのほうから僕の手
を握ってくれたじゃな
いか
2人寄り添って歩いて
そして、ここで初めて
僕たちは
キスをしたんだ。
キミはそれも忘れたの?
最初のコメントを投稿しよう!