6, アンインストール(長)

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    僕はやっと彼女に追い付き、彼女を捕まえました。     その拍子に彼女は横むけに倒れこみ、僕は、その上に覆い被さる形になりました。      「どうして逃げるの?もう僕を愛していないの?」         「何故、私があなたを愛さなきゃならないの?ほんとにあなたのことなんか知らないのよ。助けて!お願い!」     彼女は目に涙を浮かべ、僕に顧願しています。     どうやら、本当に僕のことを忘れてしまっているようです。            忘れてる?           綺麗サッパリ忘れた?                どうやって?         僕はそのときピンと閃きました。        そうだ・・・              それしかない              僕との記憶を          売ったとしか思えない。         彼女は僕との思い出を、お金に変えたのです。            許せません。       僕は、倒れた彼女に乗り掛かり、そして顔を近づけて言いました。     「何故?どうして言ってくれなかったの?」     彼女は怯えながら聞き返しました。     「な・・・何を?・・何を言ってるの?」         「いいんだよ。隠さなくても。僕とキミとの仲なのに。言ってくれればよかったのに。お金がいるならいると。」         「何?どういう意味?」     彼女の怯えた目から、涙がこぼれました。     柔らかい唇がプルプルと震えていました。     僕はそんな彼女がいとおしく思え、そのまま、彼女の唇に自分の唇を重ねて押し付けました。           やっぱり。
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