7, 天才発明家『三浦』

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「この部屋に入る前に私は時間を確認したが、それがちょうど2時だ、この部屋に入ってから30分も経ったと思うか?せいぜい1~2分だ」   と三浦はキッパリと言う   俺もそれに異論はない。   「そうだな、俺がお前の家に到着したのが1時45分だった。それからどう見積もっても15分も経つかどうかだ」     だがしかしだ   俺には納得いかないことがある。   「お前は自分で天才発明家だと豪語している身だろ?だったらそんな奇妙な現象になぜ興味をもたない?その原因を追求する好奇心が発明家の力の源なんじゃないのか?」   と、三浦に叩きつけた。   別に俺は三浦が嫌いなわけではない。ただ三浦はいつも俺に論理で言いくるめるきらいがある。   だから俺にも納得がいかないときにはこうやって強く抗議する癖がついたのだろう。   彼との長い付き合いが俺をそうさせるのである。     しかし三浦は   「なんの発明もしていないお前に発明家のなんたるかを説教される筋合いはない。それに、原因追求などと大袈裟に言うが、これは今回の発明になんらかの関係があるはずだ。それを知ろうと思えばきっと簡単に原因は解明できるだろう。しかし、今はそれどころではない。  それと・・・なんども言わさないでくれ、ここは私の家ではない、研究所だ」   と、逆ギレにも似た口調で話をすり替えた。     彼が研究所と呼ぶこの建物は、彼が産まれてからずっと変わらず親と住んでいる実家の敷地内にある離れ小屋だ。   俺にしてみれば三浦の家にかわりはない。     この三浦と俺は小学校時代の同級生だ。   そして、今回呼ばれたのにこなかった他の4人も同じく同級生だ。   俺たちは、小学校のときよく一緒に遊んだ仲間だ。   そして30を迎えるこの今でもそれなりの交流がある。   
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