7, 天才発明家『三浦』

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「なあ吉田、お前んとこにも三浦から連絡があったんだろ?」    と、俺にひそひそと話しかけてきたのは木村だ。     「ああ、あったよ。お前もか?」     「そうだよ。ここにいる5人、みんな連絡があったんだよ」     「やっぱりかぁ」     俺を含めここにいる5人に三浦から連絡があったらしい。     「で、どうする?」     「どうするったって・・・お前は行かないつもり?」     「出来れば辞退したいね」   と言う木村の言葉に   「俺も」   と、笹山が便乗すると     「俺だって」     「なんだよ俺も行きたくねぇよ」     と残りの全員が口を合わせた     俺はみんなの顔を見渡し    「おい、じゃ誰も行かないつもりか?」   と言った。   その言葉の裏には俺も行きたくないという意味を含んでいる。     「だってよぉ、前回のアレのときヤバかったろ?危うく死ぬとこだったぜ?」   と笹山がいった。   「うん、そうだ。アレはヤバかった」   と木村も乗っかる。   そして   「それに俺達もう30だぜ?嫁も子供もいる大人だよ。いつまでもガキの遊びに付き合ってらんねぇし。てか、遊びならまだいいよ。あいつは俺たちを実験台にしようとしてるだろ?」   と、続けた。     そうなのである。   三浦は何年かに1回のペースで『成紀の発明』をする。   そして決まって俺達5人に集合を呼び掛ける。   そのたびに俺達は三浦のモルモットにならされるのだ。     みんなの言う前回とは3年前。     例によって俺達は三浦に呼び出された。     「嘘発見器を発明した」     と言って。     それは、人が嘘をつくときに出す脳内分泌液に反応して椅子に流れている微量の電流が増幅すると言うものだ。   詳しいことはよくわからないが、その電流に身体が大きな反応を示した場合、嘘をついたとみなされるらしい。     しかし結局、それは嘘や誠にかかわらず、人が答えに悩んだ場合に反応するもので、しかも、その電流は尋常ではないほど激しく、もしスイッチを切るタイミングが遅れたら死んでいたんじゃないかと思うほどだった。     皆、その件で懲りている。     にも関わらず三浦はまた     「成紀の発明だ」     などと言ってみんなを呼び出そうとしているのだ  
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