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「てなわけで、名付けて『SSトリップ』だ。・・・おい、聞いてるのか?」
三浦が俺に声をかけた。
俺は昨日の悔しい出来事を思い返して、手が勝手にチョキを作っていた。
「なんだ?・・・ピースサインか?」
三浦が俺の手に気付き尋ねた
「あっいや、これは『思い出しチョキ』だ」
俺は慌てて答えた。
「なんだそれ」
と、つまらなそうに三浦は答えながら、チョキにはそれ以上の興味を持たずに、ゾウの卵に近づいていった。
そして、卵をポンポンと軽く叩き
「で、これが今説明した今回の発明品だよ」
と、自慢気な顔を俺に向けた。
俺は説明など一切聞いていなかったが
「なるほど・・・」
と相づちを打ってみせて
「で?それはどんな発明品なんだ?」
と続けた。
「お前、私の説明を聞いてなかったのか?」
三浦がムッとした顔で俺を睨んだ。
「いやいや、説明が難しくてさ。SSトリップって簡単に言うとなんなんだ?」
今更聞いてなかったとも言えず、一か八か耳に入ってきたフレーズだけで会話を続けてみると三浦は
「やっぱり凡人には理解出来ないみたいだな」と、嬉しそうに笑みをうかべた。
とりあえずホッとして
「うん、もっと簡単な説明してくれよ」
と上乗せする。
「よし、いいだろ」
三浦は上機嫌で親指を立てて片目を閉じた。
やけにイラッとくるのは何故だろうか。
「君たちにも解るように簡単に言うとだな」
君たち?
俺は周りを見渡したが、はやり俺しかいない。
自分の講義をたくさんの生徒に聞かせているつもりになって話すのが彼の癖なのだ。
「要するにこれはタイムマシーンだよ」
「はぁぁぁあ?」
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