7, 天才発明家『三浦』

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確かに、本当のタイムマシーンを三浦が作り出したとしたら、それはそれで相当驚くだろうが、俺が『タイムマシーン』と聞いて驚いたのには他の理由がある。     昔、小学生時代の話しではあるが、三浦は他の人間にタイムマシーンを作り出すのは無理だと断言していた。     俺が記憶している三浦の話しでは、これから後、科学がどれだけ発達してもタイムマシーンだけは作れないし、作った時点で作った現在が消滅すると言っていたはずだ。     なのに今、三浦の口から『タイムマシーン』を発明したと聞かされたのは発明した事実より驚きである。     「しかし、勘違いしないでくれよ」   と三浦は付け加える。   「タイムマシーンと言っても、従来のイメージにあるタイムマシーンとは全く違う」       「いや、全然意味はわからないが、お前は昔『タイムマシーン』を作るのは無理だと言ってなかったか?」     「だから、君たちがイメージする『タイムマシーン』とは違うと言ってるだろ。ただ、わかりやすく言うとタイムマシーンということになるだけだ」     全く意味がわからない。     恐らく細かく説明されても理解はできないだろう。     「私が昔、タイムマシーンは作れないと言ったのは、作ったとしても作った時点で作った事実が消滅するってことだ」     俺にとってはそれが既に意味不明だ。     「例えば、皆がイメージするようなタイムマシーンを私が作ったとして、お前がそれによって10年前の過去へいくとするだろ、そしたらその時点でお前が何もしなくても過去は変わる。わかるか?本当の10年前の過去には10後のお前がタイムマシーンで来た事実はない。と言うことは、それから10年後の現在は今の現在と繋がらなくなる。すると私がタイムマシーンを作った現在もなくなることになる。そしたらお前は過去には行けていないという矛盾が生まれる。タイムパラドックスってやつだ。わかるか?」     「ん~。よくわからないけど、じゃ今回のお前の発明したタイムマシーンはどうなんだ?」     三浦の言う意味はなんとなくわからないでもないが、それについて細かい説明を求めるのはやぶ蛇ってもんだ。   どっちみち理解できないなら聞かない方が時間を節約出来ると考え、話を先に進めた。
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