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「じゃぁ吉田くん、もし10年先の未来が決まっていたとしよう。そしてなんらかの方法で『現在』から時間軸を飛び越してその10年先の自分を見れたとしたら、君はその後どうする?」
「えっ?どうするって・・・そりゃ俺の居場所は『現在』なんだからここへ戻ってくるよ」
「うーん。それじたいおかしい話しだが、まぁいい」
三浦は腕組みをして険しい顔で話を続ける
「そしてもし、10年先から戻ってきて、自分の未来がきにいらないと言ってすぐに自殺したら、君が見てきた自分の10年後は何だったんだ?ってことにならないか?」
「まぁ確かに」
言いたいことは幾つかあるがここは黙っておかないとさらにややこしくなりそうだ。
「結局未来なんて決まっていない。いや、決まった未来があったとしても、時間軸を飛び越してそこに行くことはできない。出来た時点でその未来は消滅する。これはさっき言った『決まった過去はすでに存在するが過去へ行けない』ってのと同じだ。」
「結局、タイムマシーンは作れないってことだろ?それはわかったよ。で、お前の作ったタイムマシーンはなんなんだ?」
ようやく話を前へ進められそうだ。
「俺の発明はタイムマシーンであってタイムマシーンではない。『SSトリップ』だ・・・ん?いや、ちがうなぁ、トリップしないわけだから、『SS・・・』う~ん。何て言えばいいんだ?」
「このさいネーミングなんてどうでもよくないか?」
「いや待て、名前は大切だ。うーん」
三浦は腕組みをしたまま首をかしげて固まった。
なぜそんなに話をひっぱるんだ
「そうだ!」
と、叫びながら三浦の表情が明るくなり、パチンと指をならした。
なんかムカつく。
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