王様の優しさはわかりにくい

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「…うっそだあ!」 「嘘じゃないわよ」 あははと笑う私に、玲はため息をつきながら言う。 だって千尋だよ!? あの千尋! ――中学生の頃 『一緒に学校行こーっ』 って言ったら 『めんどい。お前、足遅いし』 とか言った千尋だよ!? あたしが顔を歪めると、玲は諦めたように息を吐き、学校へと足を向けた。 …………って 「ちょ、待ってよ!」 「早くしないと学校始まるでしょ!あんた足遅いし」 「………第二の魔王め…」 「なに?」 「なんでもないっ」 チラッと向けられた鋭い視線に大きく首を横に振り、笑ってみせる。 玲は“そ?”と言うと視線を前に戻した。 ―――なんで、あたしの周りは王様もしくは女王様気質の人が多いんだろう…… ぼんやりそんなことを考えながら、あたしも視線を前へ向け、先を行く玲の後を追った。       □ 「美夜ちゃんっ!旦那様、やっぱりかっこいいねー」 「………は?」 学校に着き、自分の教室へ向かう途中に会ったクラスメートに言われた一言。 この場合、旦那様=千尋、ですよね。やっぱ。
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