王様の優しさはわかりにくい

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あたしがぽかんとしているのも知らずに、その子はどんどん話を進める。 「寝てる姿も様になってるよね!」 周りの“うんうん”と言う声を聞きながら、あたしは疑問に思う。 「………は?寝てる?」 「うん!図書館でね。あたし、ほとんど毎日見るよ?」 こんなことを言うから、あたしは目を見開くしかない。 それじゃあ、まるでさっき玲が言ったことが本当みたいじゃないか。 「う、うそ……」 「え、ちょ、美夜ちゃん!?授業始まる……っ!」 なんだかいてもたってもいられなくて。 あたしはガタガタっと席を立ち、校内を駆けていった。 もちろん目指すは図書館、だ。          □ 「…っ、…疲れた……っ」 普段走らない人が突然全力疾走すれば、そりゃあ足やら肺やら痛くなる。 しかも………… 「ここっ、どこ……!!!」 目指したのは図書館だったんだけど、よく考えたらあたし図書館に行ったことがなかったんだ。 目の前にあるのは、家庭科室。 まあ…明らかに図書館じゃないですよね。
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