王様の優しさはわかりにくい

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しかも、授業中だからか周りに誰もいない。 ……え、これってやっぱり… 「迷子、……?」 学校内で迷子って有りえなくないですか……!! バッと辺りを見渡しても目に入るのは、長く続く廊下だけ。 「………とりあえず、歩くしかない、か」 小さくため息をついて、あたしは適当な方向に足を進めた。 「……あー…歩くの疲れた…」 10分くらい経っただろうか。 あたしは階段の適当なところに腰掛けた。 「なんでこういう時に携帯持ってないかな、あたしはっ!」 すぐに戻るつもりだったから、携帯は教室の鞄の中。 そして、今頃気づいたことがひとつ。 「……ここって大学の校舎じゃん…」 走り回った結果、いつの間にかあたしは大学の方に来ていたらしい。 どうりで見たことがないわけだ。 「…あたしのばかーっ」 漫画とかだったら、ここでかっこいい男の子が来たりするけど…千尋が来る気配はゼロ。 自分の責任とはいえ…なんか……… 「寂しいじゃんか、ばか千尋…」 無意識にそう呟いてしまった。
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