王様の優しさはわかりにくい

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知らないところで有名になっていたことに頭を押さえつつ、あたしはようやくその人の顔を見た。 ふわふわの猫毛に、大きくてまんまるの目。 すっとした鼻に、薄い唇。 世間一般的には可愛いと言われる男性だと思う。 「……可愛い、ですね」 「俺的にはかっこよくなりたいんだけどねー」 あたしの隣に座りながら、軽く苦笑する彼。 ――可愛いはダメだったかな… そう思っていると、彼はにこっとしながら再び口を開いた。 「まあ、女の子がいっぱい来てくれるから別にいいんだけど」 「は???」 「女の子には困りませんっ!!もう何人いただきますしたかな……」 あはははっと笑いながら彼は言うけど、笑える内容に思えないのはあたしだけでしょうか…… だって、それはつまり、いろんな子と…… そこまで考えて、気付けば大きなため息をついていた。 「どしたの???」 「いえ……ただ女の子が可哀想だなって」 思わず本音を言うけど、彼はきょとんとしているだけだ。 「だって、彼女たちは本気で、貴方は遊びなんでしょ???」 「んーん。みんな彼氏いる子だよー」 返ってきた言葉に驚きつつ、ふと思う。 ……あたし、こんなことしてる場合じゃなくない??
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