王様の優しさはわかりにくい

13/15

206人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
「そんな睨まないでよねー。俺、美夜ちゃんが迷ってたから連れてきたんだからっ」 「は??」 ひぃっ!!!! ギロッと睨まれるあたし。 これを蛇に睨まれた蛙というのね。 何も言えずにいるあたしに、千尋は小さくため息をつく。 「……はぁ…もういい。行くぞ」 そして、あたしの手を引いて歩き出す。 玉木くんの存在は無視してる…… 「よくないよねーっ、千尋っ???」 「ね、玉木くんが「知るか」 やばい。 なんでかわかんないけど、本気で怒ってらっしゃる…。 繋いだ手の先から、不機嫌な真っ黒オーラが伝わってくる。 そのままずんずん進む千尋に、あたしはチラッと後ろを振り返った。 「へぇ……」 「……???」 そこには、意外そうに目を見開く玉木くんがいた。 そして、あたしと目が合うと、屈託のない笑顔を見せて 「美夜ちゃん、またねーっ」 って叫んだ。 うん、その瞬間、前を歩く王様のオーラは黒さを増しました。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

206人が本棚に入れています
本棚に追加