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「そんな睨まないでよねー。俺、美夜ちゃんが迷ってたから連れてきたんだからっ」
「は??」
ひぃっ!!!!
ギロッと睨まれるあたし。
これを蛇に睨まれた蛙というのね。
何も言えずにいるあたしに、千尋は小さくため息をつく。
「……はぁ…もういい。行くぞ」
そして、あたしの手を引いて歩き出す。
玉木くんの存在は無視してる……
「よくないよねーっ、千尋っ???」
「ね、玉木くんが「知るか」
やばい。
なんでかわかんないけど、本気で怒ってらっしゃる…。
繋いだ手の先から、不機嫌な真っ黒オーラが伝わってくる。
そのままずんずん進む千尋に、あたしはチラッと後ろを振り返った。
「へぇ……」
「……???」
そこには、意外そうに目を見開く玉木くんがいた。
そして、あたしと目が合うと、屈託のない笑顔を見せて
「美夜ちゃん、またねーっ」
って叫んだ。
うん、その瞬間、前を歩く王様のオーラは黒さを増しました。
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