彼は王様です

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「1、2、さ「あたしが乙女だからっ」 はっと我に返って言うと、千尋はあたしの腕をグイッと引っ張った。 そして…… 「タイムオーバーな上に、有り得ねえこと言うな」 「ひ、ひど……っ、ん!」 有り得ないってあんまりだろ、おい。 そう思って反抗しようとしたのに、あたしの唇は千尋のそれで塞がれてしまった。 あああ、最悪! 千尋にキスされて、腰砕けにならない奴はいない、と思う。 あたしだって例外じゃない。 なんとか快感から逃れようと、必死に千尋の胸を押す。 「……っ、ちひろ、や…っ」 「やめろって言われて、やめるわけねぇだろ」 少しの間だけ唇が離れて、そう囁かれた。 ああ…そうだった。 そういう男だった。 天の邪鬼で、人の言うことには耳を貸さない。 世界は自分を中心に回ってると思ってる。 頭を抱えたいところだが、あたしは今こいつの腕の中にいる。 最悪だ。 千尋にキスされると、何も考えられなくなる。 もう、なんだっていい。 千尋のことしか考えられなくなるんだ。
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