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どのぐらいしていたかわからない。
ようやく千尋が唇を離し、あたしは解放された。
ただ、目を開いたあたしが見たのは……
「ねー、千尋」
「あ?」
「なんであたしの目の前に天井があるのかな?」
そう尋ねると、目の前の男…いや、大魔王様はニヤリと笑った。
「今からヤるから」
「いやだっ!」
「お前に拒否権はない」
この男……!
いっぺん、三途の川を渡らせてやろうか。
当たり前のように言う千尋に、あたしの中に少なからず殺意が芽生える。
近くに何か凶器はないかと見渡すが、何も落ちていない。
「なんで今日に限って!」
「珍しく部屋が綺麗で残念だったな」
「ちょ……っ」
悔しがるあたしの首筋に、千尋は本当の大魔王のように黒い笑みをしながら噛みついた。
いや、マジで。
「いっ……」
「お前は俺のだ」
この言葉は行為が始まる合図。
本気になった千尋にあたしは敵わない。
こうなったら、こいつに付き合わざるをえないんだ。
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