彼は王様です

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「第2ラウンド」 「な、なんで!」 今の話から、どうしたらそんな展開になるんだ! あたしがそう考える間にも奴の手はあたしの身体を弄る。 ああ、もうダメだ。 抵抗できない。 あたしが仕方なしに快感に身を委ねだした時、不意に奴の手 が止まり、ニヤリとあたしを見た。 「……なに?」 「Life is beauty, admire it.」 「へ?」 「この英文、俺のための言葉だろ。お前もたたえろよ」 「は?」 「人生は美しいものをたたえるためにあるんだ。俺をたたえろよ」 突然なにを言い出すんだ、このジャイアンは。 いや、ジャイアンよりもたちが悪いかもしれない。 だってその訳、ものすごく自分のいいように言い直してる。 「た、たたえるって…」 「ヤらせろ」 今のあたしはもう快感から覚めている。 そんなあたしに今の言葉は、顔を青ざめさせるだけ。 「いーやーっ!!!!!」 「どうせ数秒後には喘ぎだすくせに」 まあ、その言葉はあながち嘘ではない。 こいつの毒牙にかかってしまったあたしが悪い。 いや、結局のところ あたしはこの王様が好きなんです。 だから逆らえない。 「っ、や、ふぁっ…」 「ほらな」 いつだって上から目線。 そんな彼だけど、好きなもんは仕方がないんです。 ~彼は王様です(完)~
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