王様の優しさはわかりにくい

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「おい、起きろ」 「…あと5分……ムニャムニャ…」 「………」 チッチッチッチッ 「……………んっ、ぶはっ!こ、殺す気か!」 「あ゛?」 「寝てる人の鼻と口を塞ぐな!この悪魔!」 皆様、おはようございます。 なぜ私がこんなに怒ってるか? 安眠を妨げられた上に、鼻と口を塞がれ、軽く臨死体験をしたからです。 「死んだら、起きないお前のせいだろ」 「は!?」 「つかお前、俺に礼もなしか」 「………礼、ですと?」 なんで自分を殺そうとした奴に、礼なんざ述べなきゃならないんだ。 え?それともなんだ。 この世はそういう作りになってるのか? 『君を殺すよ』 『ええ、ありがとう。タカオさん』 『お礼なんていいのさ。さよなら、チョウコさん』 『さよなら……っう…』 …………。 そ、そんな世の中イヤだっ! 1人で色々考えていると、隣から冷たい視線が降ってきた。 「な、なに?」 「てめぇ、この俺様がわざわざ起こしてやったのに礼もなしか?あ゛?」 「へ?………あ…」 そういうことか。 なーるほど。 ……って、早くお礼言わないとこの王様はキレる… いや、すでにキレてる。 隣から降ってくる視線は、きっとマイナス250℃だ。
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