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焦る事はない蛍火硝子は
まだ沢山残っている
足りなくなったらどこかで
買えば済む話だ。
落ちついて、吸い込んだ空気を
少しずつ少しずつ
唇から細く細く吐き出す様に
微々として微々として
ほんの少しずつ解放する魔力を
高めてやれば……。
メギョギュルルルゴリュ………!
悪魔の断末魔かと
間違えたくなる様な音がしたが
それは手のひらの中に収まる
硝子玉が発生源であり
透明だった硝子が
白く濁ってしまうほど細かな
亀裂に侵されている
その後何度か試したが
破裂か亀裂以外の反応は無し
むしろ回を重ねる度に
酷くなっている気がする
「成る程…これが俗に言う
お手上げ状態か。」
人生初と言ってもいい
壁にぶつかり何やら納得する
トマスだが結局
一人では無理だとの結論に
至っただけだった。
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