無敵な生徒の素朴な疑問

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翌日、トマスは図書室で借りてきた 本に目を通しながら ヴァインツが現れるのを待っていた 掃除を終えた後に 直接会いに行っても良かったのだが さすがに怪我人の部屋に何の 約束も無しに訪問するのは 気が引けたのだ。 もっともそれ以前にトマスは ヴァインツがどこで 寝起きしているのか知らないのだが。 「おはようだな、 トマト・スパゲッティ!」 朝っぱらから右手に白手袋を 握り絞めてやって来たのは まだ治療中のはずの ケロウ・ヌクワス 相変わらず鼻息も荒く トマスの顔目掛け指を突き付ける それを本の端で 器用に避けながら。 「拙者の名前はトマスだ 夏野菜ではない。」 「わざと間違えてるんだから いいんだ。」
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