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ケロウは「そんな簡単な事を
なぜこの俺様が…。」
とぼやきながらも
トマスから蛍火硝子を受けとると
目を瞑り精神を集中させる。
ケロウの指先で
蛍火硝子は微かに震えながら
その中心に白く光る物を
宿らせ、肥大化させて―――。
バキャン!
縦に亀裂が入り
真っ二つに割れてしまった。
「………割れたな。」
「…………。」
「こんな簡単な事をなぜ
とか言っておきながら
綺麗に割れたな。」
「……っ、トマス・スゲティーネ
蛍火硝子をもう一つ寄越せ!
次こそは成功させる。」
割れた硝子を回収しつつ
別の蛍火硝子を渡してやると
ケロウは両手で
蛍火硝子を包む様に持ち
慎重に魔力を流す。
蛍火硝子は緩やかに
光を増しては行くが完全に
発光しきる前に
ビキリと異音を発して
大きく裂けた。
「この、ヌクワスに
ケロウ・ヌクワスにこんな
簡単な事が出来ないはずが!?」
パニクるケロウの頭に
図書室では静かにと
教員から放たれたチョークが
ケロウの後頭部を強襲した。
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