無敵な生徒の素朴な疑問

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バキャン、ビキン、と 不協和音を響かせるケロウを 置き去りにして トマスは図書室を後にした。 簡単だと宣言した手前 蛍火硝子を光らせられないのが 我慢ならないのか ケロウはトマスから 硝子の入った袋を引ったくると 次々に試しては砕き 試しては割り頭を 掻きむしっている。 手元に練習用の蛍火硝子が 無くなってしまった訳だが 蛍火硝子自体、 安物の消耗品である 買い直せば済む話しだし トマスの稼ぎなら 教室を埋め尽くすほど買っても 財布は痛まない。 (……もし本当に 教室を埋め尽くすほど 買わないと光らせられなかったら さすがに落ち込むぞ。) 嫌な想像を振り払いつつ 向かうは学園にある売店 生徒の消耗品を扱う売店に 普段必要の無い 蛍火硝子が売っているかは 疑問だが一応見てみる事に したのだ。
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