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女性は硝子が入った箱と
トマスの顔を見比べたあと
疑わしそうに眉根を寄せて
「早すぎる
クリスマスパーティーでも
開くつもりなの?」
装飾に使うつもりも
無いのだが。
「まぁそんなところだ。」
他に良い言い訳も思い付かない
まさかギルドランクSの
腕利きハンターが
今さら初歩的な魔力操作訓練を
積んでいるとも言えないので
それで押し通す事にした。
「クリスマスパーティーねぇ、
良いじゃないワタシも
誘ってくれない?」
背後から声をかけてきたのは
黒毛の好戦的少女
レアヌ・ソフィード、
今日は肩までの髪を
毛の中程で結んでいる
猫を思わせる髪と同じ黒い瞳が
好奇心で爛々と輝いて
トマスを注視していた。
「残念ながら
私的なパーティーでな
拙者に親しい者しか
招待しない予定だ。」
サラサラと淀みなく嘘を言い
次の授業の為に
教室へ帰ろうとしたが
不意に近寄ってきたレアヌは
耳元に口づけを
するかの様に肩を抱き抱えると
鬱陶しそうに振り払おうとする
トマスへ小さく。
「それって昨日
訓練所で硝子を無駄に
してたのと関係あるの?」
呟いた。
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