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「……………………見てたのか。」
誤魔化そうとしたが
実際見られていたなら
誤魔化す意味がない
諦めて聞いてみるとレアヌは
好奇心の塊とでも
形容するのがふさわしい
弾んだ口調で
「やけに派手な音を立てて
粉砕してたのは見てたよ、
あれって新しい
魔法の練習か何か?」
「そんな大それた物ではない
単なる基礎訓練だ。」
見られた以上は
隠していても仕方がないと
ヴァインツに弟子入りした事
自分の欠点克服の為に
課題を出されたことを説明する。
「あの先生って
あなたを鍛えられるほど
強そうには見えないけど。」
それは当然だろう、と
トマスは内心頷く
知り合いの上位に位置する
ハンターが同じ事を言い出したら
自分もそう言って
止めるから。
ヴァインツの、
魔力の強弱だけでは計れない
実力を目にしなければ。
「見た目と実力は別物だ
師としての才能と
個人の強さもまた趣が異なる。
ヴァインツ先生は
拙者が師事するにふさわしい
技量の持ち主だ。」
欠点の克服と言う一点にだけ、
と心の中で付け加える。
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