5953人が本棚に入れています
本棚に追加
そう言って、固まっている俺の前を通りすぎていき。
「………………。」
俺は、その姿を目で追い掛けた。
アマミコは、一度も振り返ることなく、目に焼き付けられた鮮やかな金髪を妖艶に揺らしながら、溢れ返る人の波へと身を投じ、そして。
……消えた。
途端、喧しい街の喧騒が、やけに白々しく鼓膜に届く。
俺は、アマミコが消えていった先を、ただずっと見ていることしか出来なかった。
山田が、俺の肩に手を置いて、
「……武流?さっきから、どうしたよ??さっきの巨乳金髪ねーちゃんとは、知り合いか?
てか、何話してたんだ??」
と聞いてきたが、俺は反応出来なかった。
山田や、おそらく穂村と姫にも俺とアマミコの会話は聞こえなかったのだろう。いや、もし聞いていたとしても、会話の本質を知ることは出来ないはずだ。今の俺のように。
……ただ。
ただ、一つだけ理解できたことがある。
アマミコは、ただ喜んでいるように見えた。
最初のコメントを投稿しよう!