呪われた記憶

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パンッ! そんな音を立て、勢いよく銃弾が飛び出した。 アッシュが結界を解除する間もなく、それは放たれた。 「っ!!」 だが、彼は痛みを感じなかった。 確かに額に命中したのだが、代わりにそこに違和感を憶えた。 そしてそれが何なのか気づく前に、彼は気を失って倒れた。 重度のショックで失神したのだろう。 ちなみに彼の額に命中したのは、先端に作り物の花がついた、ダーツに使うような小さな吸盤だった。 拳銃は、よく出来た玩具だったのだ。 「…危なかったぁ…」 キースは腰が抜け、座り込んだ。 「…え、演技も楽じゃないよ… いや、そんなこと考えてる暇はないし…この人が起きる前にどうにかしてここを出なきゃ」 そういやこの部屋には扉はないよね? そう思いながら、部屋を出ようとした。 すると、バチッと音を立てて彼の身体は弾かれた。 「うわっ!」 また部屋に戻され、ビスケットの床にしりもちをつく。 「…ビスケットって、意外と固いんだ…」 床をぽんぽん、と叩いてみる。 …となると、僕がここに来た瞬間に結界が張られたということか… じゃあ、この人が解くまでここからは出られないのかも。 あれ?でも結界がなくなれば魔法は使えるし…そうなれば転移魔法だって例外じゃない。 「…難しいな」 キースは何を思ったのか、ショートケーキの生クリームを手に取り、すっかりのびているアッシュの顔に付け始めた。 それから5分後… まるでバラエティ番組でパイをぶつけられたかのように、アッシュの顔はとうとう生クリームだらけになってしまった。 「…ぶっ!何この顔!!あはははは!!傑作だぁ!!」 と、彼の顔を見て一人で大笑いする。 ここまでやって、起きないアッシュはある意味凄いところである。
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