呪われた記憶

5/25
前へ
/642ページ
次へ
「…ねぇ、ジャイロ!」 「何!?てか今喋ってる余裕なくない!?」 「…火って水掛けたら普通消えるわよね!?」 「それ僕も疑問に思った!!」 ロジーナとジャイロはテリーの炎攻撃に苦戦していた。 ロジーナが水を掛けても、炎が消える様子はないのが現状である。 「…どうしてだか…本当に分かりませんか?」 テリーが炎を発しながら訊いた。 「じょ…常識が覆されてるのよ!?分かる訳ないじゃない!!」 と言いながら、水で防御する。 「…質量の問題ですよ。水よりも質量の大きい炎を出せば消えません。厳密に言うと、水が消しきることができない… 例えば極端な話、コップ一杯の水で火事は止められない…それだけのことです。 となると、貴女はこの炎よりも質量の大きい水を出さなければならない。ただし魔力の消費量は半端ではないと思いますが」 「…!」 今でさえ魔力をかなり消費してるのに…てかこれ以上の質量を出せっての!? ロジーナは戸惑った。 日々鍛練しているテリー達シュヴァルツ・ウィザーズや三大魔導士一家の連中とは違い、こちらはごく普通の家柄の人間だ。 もちろん魔力を上げるための鍛練など毎日行っているはずがない。 格の差というものが、ここで明らかになろうとしていた。 かといって氷は使い物にならない…炎で溶かされてしまうからね… あぁでもない、こうでもないと考えていると、ジャイロが何か思いついたようだ。 「ロジーナ!雨とか、降らせられる!?」 「…えっ?」 「一か八かだよ!水が駄目なら僕が何とかする!」 と、ジャイロは火傷だらけになりながらも叫んだ。 「…でも難しいから、詠唱無視は命に関わるわ。それも、長い… それも何とかできるのなら、やるけど?」 「…いいだろう!」
/642ページ

最初のコメントを投稿しよう!

366人が本棚に入れています
本棚に追加