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「…ねぇ、ジャイロ!」
「何!?てか今喋ってる余裕なくない!?」
「…火って水掛けたら普通消えるわよね!?」
「それ僕も疑問に思った!!」
ロジーナとジャイロはテリーの炎攻撃に苦戦していた。
ロジーナが水を掛けても、炎が消える様子はないのが現状である。
「…どうしてだか…本当に分かりませんか?」
テリーが炎を発しながら訊いた。
「じょ…常識が覆されてるのよ!?分かる訳ないじゃない!!」
と言いながら、水で防御する。
「…質量の問題ですよ。水よりも質量の大きい炎を出せば消えません。厳密に言うと、水が消しきることができない…
例えば極端な話、コップ一杯の水で火事は止められない…それだけのことです。
となると、貴女はこの炎よりも質量の大きい水を出さなければならない。ただし魔力の消費量は半端ではないと思いますが」
「…!」
今でさえ魔力をかなり消費してるのに…てかこれ以上の質量を出せっての!?
ロジーナは戸惑った。
日々鍛練しているテリー達シュヴァルツ・ウィザーズや三大魔導士一家の連中とは違い、こちらはごく普通の家柄の人間だ。
もちろん魔力を上げるための鍛練など毎日行っているはずがない。
格の差というものが、ここで明らかになろうとしていた。
かといって氷は使い物にならない…炎で溶かされてしまうからね…
あぁでもない、こうでもないと考えていると、ジャイロが何か思いついたようだ。
「ロジーナ!雨とか、降らせられる!?」
「…えっ?」
「一か八かだよ!水が駄目なら僕が何とかする!」
と、ジャイロは火傷だらけになりながらも叫んだ。
「…でも難しいから、詠唱無視は命に関わるわ。それも、長い…
それも何とかできるのなら、やるけど?」
「…いいだろう!」
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