呪われた記憶

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ロジーナが詠唱を終えると、空に雨雲が出現した。 そしてポツポツと雨が降ったかと思うと、本格的に降り始めた。 だがそのときには、ジャイロは既に倒れていた。 「ジャイロッ!!」 彼の思いを無駄にしないためにもずっと詠唱に集中していた彼女は、そのとき初めて彼を抱き起こした。 「ロジーナ…雨…」 「降らせたわよ…後は任せろって言ったの誰よ!? …ボロボロじゃない…」 雨に混じって、ロジーナの涙がジャイロの頬に滴った。 「…バカ!」 「もう…誰がバカだよ?」 ジャイロはよろけながらも立ち上がった。 「ちょっ!無茶するんじゃないわよ!」 「ロジーナってば言ってること…矛盾してるよ? 大丈夫…!僕にも、美味しいとこいただかせてよ」 心配そうに見つめる彼女を、「ね?」と、頷かせる。 「…雨、ですか…これでは炎の力場が半減ですね。 なかなか考えましたね…」 テリーがジャイロに近づいた。 「甘いよ、それも考えてたけど…僕の狙いはまだ他にあるんだよね!」 ジャイロの身体を青い電流が覆った。 「…ほう…それは何でしょうか?」 「さぁね?当ててみなよ!」 電流はテリーを襲ってくる。 彼はとっさに炎で防御するが、雨のためにすぐに消えてしまう。 「…っ!?」 そしてとっさに、質量を上げて炎を大きくする。 確かにこの大きさでは消えないが… 『魔力の消費量が…半端ではない…!このままでは…』 彼がそう思ったのも束の間、ロジーナがかろうじて残っていた魔力で水鉄砲を発射した。 大量の水に、炎がどんどん消えていく。 「うあぁっ!わ、私の炎がぁぁ!!」 「ロジーナ!?君は下がっててって…」 「バカね!こんなチャンス滅多にないわよ! あんたがやるんでしょ?さっさとケリをつけなさい!」
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