呪われた記憶

12/25
前へ
/642ページ
次へ
ジャイロは後方のロジーナに笑い掛けると、前方を見た。 「じゃあ、簡単な質問しようか。 大雨が降ったときとかに、たまに空から落ちてくるものってなーんだ?」 「…っ!?そ、そんなの雷に決まってるじゃないですか!!」 テリーの炎があとわずかで消えてしまうと思われたとき、ジャイロが叫んだ。 「…ロジーナ、伏せて!!」 何が何だか分からないまま、彼女は伏せた。 すると空から雨雲を突き破り、雷がテリー目がけて一直線に落ちてきた。 「…正解…って、大丈夫かな?」 テリーを取り巻いていた黒い煙が消えると、何と彼の姿も消えていた。 だがコンクリートの上には、確かに落雷の跡が薄い煙を立てて残っている。 「…?」 「瞬間移動…とか?でも…」 ロジーナは全身の力が抜けて座り込んだ。 「…やった…のね?」 「……そうだね」 ジャイロは密かに逃げられたか、と心の中で舌打ちした。 「もう駄目…あたし、魔力全部使いきったかも…」 と、気の抜けた溜め息をつく。 するとジャイロはそんな彼女に右手を差し伸べた。 「立てますか?お嬢様」 「なっ!だ、誰がお嬢様よ!?」 「ははは、でも一人じゃ立てないだろ?」 「…………」 ロジーナは顔を真っ赤にしながら、ジャイロの右手を取った。 そして立ち上がると、一発ビンタを食らわせた。 「痛っ!!」 「…あたしはそこまで軽い女じゃないわよ、バーカ」 「な、何それ!?勘違いしてる!?勘違いだよね!?」 「それよりもキー坊が先でしょうが!何主旨忘れてんのよ!?」 「…あ…い、いや、あの人が邪魔するからうっかり…!」 すると今度はロジーナが右手を差し出した。 「…行くんでしょ?」 「ったくツンデレなんだk「やっぱ嫌!!」 いつの間にか雨は止み、綺麗な夕空には虹が掛かっていた。
/642ページ

最初のコメントを投稿しよう!

366人が本棚に入れています
本棚に追加