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「赤くて…黒くて…鉄の臭いと味がする…
生きてるものは皆持ってる。それはもちろん、僕もお兄さんも…」
「…狂ってる!この子、狂ってる!!」
「狂ってる?…それはお兄さんと僕の価値観が違うだけでしょ?
…仕方ないんだよ。皆言うんだから…僕のこと、悪魔だって!」
キースはナイフを振り上げた。
だが、アッシュはとっさに避けた。
代わりに、ビスケットに小さな深い穴が開く。
そして血の代わりに、サンドされていた生クリームが刃にべっとりと付いていた。
「…やだ…」
キースはアッシュに向かってナイフを振るい続ける。
「こんなんじゃやだ!見たい!見たい…!」
「いくら、だよ!?いくら見たいんだ!?」
「…そんなの致死量に決まってるじゃん!!」
「遠回しに『死ね』ってことかよ!?」
「……うん、死んじゃえ!」
と、笑顔で襲い掛かる。
ま、もう同じ手には乗らないし…
ここは気絶させてその隙に転移魔法を使うか…
アッシュが魔法を使おうとしたとき、炎の渦が彼を襲った。
「っ!?」
それは防御魔法を使う間もないほど素早かった。
「あっ、熱っ!何これ!?」
と言いながらも、光の魔法で炎を消す。
だが彼の目の前には、既にナイフを構えたキースがいた。
「…おっ、お前いつの間に!?」
「…じゃ、いい声で啼(ナ)いてね…?」
キースはうっすらと笑みを浮かべ、ナイフを振り下ろした。
「っあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
わざと急所を外し、頭に刺さったナイフをすっと引き抜く。
その刃に付いた血を見て、キースは嬉しそうに微笑んだ。
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