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「…いや、そこまでお前らに頼む訳にはいかねぇ。
奴だってさるものだ。赤の他人を危険に巻き込んだりしたら…」
ネロは真剣な眼差しで四人を見た。
「…ネグロリス家当主として、面目が立たねぇからな…」
「そ、それは関係ないわよ!あたしはやりたいの!」
「…命知らずだぞ、ベルデ。
クランクシュヴァルツ家がどれだけあくどいことをしてきたか…お前も知ってるはずだ」
マイルズが言った。
「そりゃ、知ってるわよ。でも…マイルズだって知ってるでしょ?
お父さんとお母さんのこと…」
ベルデとアメリアの両親は6年前、交通事故で亡くなった。
当時7歳だったベルデは、二人の思い出をあまり覚えてはいない。
一時は施設に入れられるという話が出ていたが拒否し、しっかり者のアメリアと幼なじみのマイルズ達ドヴァイス家がナティーユ家を支えることになったのである。
「…だからあたしは、親と子供が引き離されるの…もう見たくないの…!」
涙を流しながら自らの過去を話す彼女に、マイルズは溜め息をついた。
「…あのな、それは今回の話とは別だ」
「別じゃないもん!あたしとお姉ちゃんはそういう子供の気持ち、分かるのよ?
…その、ノアっていう子だって今頃泣いてるかもしれないのよ…?」
「…ベルデ…」
アメリアが感心したような目で彼女を見た。
するとネロが立ち上がり、彼女の頭をぽんぽん、と撫でた。
「…そうだったのか、辛かったな。だがな小娘、こればっかりは「やだ!!」
いきなりの言葉に、ネロは驚いた。
「マイルズ達がやだって言っても、あたしは協力するから!
許さないわ、そのオッサン!」
彼女が何を言っても聞かないのは今に始まったことではない。
「…仕方ない、か。じゃ、俺も賛成」
ルジュールが手を挙げた。
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