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勝負に勝ってめっちゃ嬉しいはずなのに、さっきまで見ていたホラー映画が怖くて俺は映画館を出て寮に帰る道すがら、ずっと晴也の腕にしがみついていた。
「なぁ、有希?
そんなにアレ怖かったんか???」
無言で何度も頷く俺。
「本当、有希は怖がりゃなぁ~。
まぁ、そこが可愛えぇんやけどなぁ。」
そう言って住宅街に入った瞬間、
ヒョイっ!
晴也に持ち上げられた。
それも、
“女の子の憧れ姫抱っこ”
―――わぁ!晴也君、力持ちィ~~~~☆
じゃねぇよ!!?
「晴也!
歩けるから降ろせ!!!」
晴也の腕の中で暴れてみる。
「嫌や。」
…………。
なんていうか、あっさり、拒否…???
「有希、目ぇ瞑っとき?」
そう言うと、晴也は歩みを早めた。
仕方がなしに晴也に抱かれたまんまでいる俺。
歩くリズムが一定なせいか、映画を夜中まで見たせいか、俺が眠りに落ちるのに時間は用さなかった。
「本当、可愛えぇやつ。」
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