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今、俺は寮の部屋へずるずると引きずられながら必死に考えていた。
―――何でこんなことになったんだ?!
何で俺は引きずられてんだよ?!
まぁ、原因は安易に想像できるが、普通に話してただけだぞ?!
――――――――――――――――――
1時間前…。
「…だから、今年の夏休みはみんなで海だぁー!!!」
俺の彼氏。柳 晴也と一緒に帰ろうと待っているついでに友人と夏休みについて話していた。
晴也は、この清々学園高等部の生徒会書記を務めている。だからいつもは一緒に帰れないが、今日は書類提出だけすれば大丈夫だと聞いたので、放課後デートを狙って待っていたのだ。
「なぁ、なぁ!!!
晴也も誘って、有希も彼女ゲットのために海行こうぜぇ~???」
友人の佐久間 雪が俺の肩を抱いて話しかけてきた。
「そぅだなぁ、まっ!
彼女とか考えずに気楽にいこうな?」
俺は晴也という彼氏持ちだ。まぁ、言うつもりは無いからはぐらかす。
「はぁ?お前だって、彼女くらいほしいだろぉ?」
――まだ食い下がる気かこの野郎…。
内心、ため息をついた。
「それにさっ!
お前達二人がいると、女の子がよりどりみどりってくらいに寄ってくるんだもん!!!
こりゃぁ、連れてくしか手は無いだろぉ???」
――――オイオイオイ。
自分で彼女つくろうって気はないのか、この野郎…。
そんな雪の相手をしていて俺は気が付かなかった。
この世で一番愛しいかつ、
この世で一番の困り種が、
友人が俺の肩を抱くところから、ずっと見ていたなんて………。
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