違和感と洗脳

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カチャン―― 鉄格子の一本を手で掴み、わずかな隙間から外を見た。陽に照らされる木は奇麗だった。夏は過ぎ去ろうとしていた。 何階なのか? 身を乗り出せないから完全に下を見ることができない。ギリギリのところで、スレスレの土が見えた。 と、そこに人がいた。 こんなところに誰?人は女性で、どうやら学生、か。高校生。私ぐらい………。 ――――私? ビーッビーッビーッ―― 私は力一杯壁に備え付けられたボタンを押した。 半狂乱になった私を見つけた看護士がドクターを呼んだ。次から次へと人が集まり私を押さえ付ける。 「私がっ!!外にっ!私がいたーっ!!!」 「鎮静剤!」 「私がいたぁっ!!」 意識が、飛んだ。  
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