17歳、夏

7/8
前へ
/79ページ
次へ
私には弟がいるが、彼はいつも部活で帰りが遅い。食事は取り分けておいて彼を待たずに食べてしまう。 「あ、おいしい。ねぇ、こんなお肉ってうちなら何パック買うの?」 「あんたたちよく食べるから大きいの三パックかな。何で?」 「いや、なんとなく。」 どうでもいい話をしながら、今日の疲れを癒す。また夜から問題をこなさなければならない。 その時だった。 「はかどってる?お勉強の方は。」 なんの気なしに聞いたのであろうが。その母の言葉に一瞬箸がとまった。 「…まぁね~。」 「模試って次のはいつあるんだっけ?」 「えっとー…。再来週の土日。」 「頑張ってね。」 ―言われなくてもそうします― イラっと。心臓辺りにもやがかかる。 そんなのわかっている。 いちいち言わないで欲しい。  
/79ページ

最初のコメントを投稿しよう!

973人が本棚に入れています
本棚に追加