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夜のひんやりとした冷たい風が、火照った体を優しく拭っていく。   汗ばんだ体も徐々に冷え、些か自分の思考にもゆとりが生まれ始めた。   くっきりと浮かぶ輝かしい月がこちらをそっと見守っているようだ。 雲一つ無い綺麗に円を描くそれは、明日も良い天気である事を告げている。   そこでようやくふう、と息を吐いて、首に提げている香袋を月明かりに照らした。 ほのかに香る甘い匂いが、ざわついた心をいつも落ち着かせる。  
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