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俺は勢いよく玄関のドアを開けた。
早く自分の気持ち伝えたくて、ちゃんと謝りたくて、ちゃんと涙拭いてやりたくて…
「…」
けど、もう気付くのが遅すぎたんかもしらん。さゆみはもう部屋にはおらんくて、電気も真っ暗で、荷物は全部綺麗になくなっとった。
「なんでやねんっ…」
俺は部屋を飛び出した。
どこに行ったかも分からへん、東京に帰ってもうたかもしれんさゆみを、俺は必死になって探し続けた。
何分経ったやろ…?
俺は知らん間に観覧車の前まで来とった。
「あ、これ…」
そう、この観覧車は初めてデートした時にさゆみと二人で乗った観覧車。
俺らはあん時、この観覧車から神戸まで見えたあの日が…ずっと続くって信じとった。
もう無理なんかな?気付くのが遅すぎたんかな、?探してる途中に何回もそんなこと考えてまうけど、あかんわ俺…
「やっぱり好きやねん…」
俺はまた走り出した。
早く追いかけて抱きしめたい、…俺は必死やった。さゆみを失いたくない、…ただそれだけやった。
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