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━三年前━
「むっちゃ寒いし…」
ちょうどあの日も、こんな凍えそうな雨の夜やった。
俺はいつものようにギター片手に路上ライブしとったんやけど、
やっぱり客なんかおるはずもなくて…
俺は大阪の街で一人
『悲しい恋の歌』
を歌とった。
せやけど俺はこうやって、この場所で歌っとったから、
アイツに出会う事ができたんやな…?
莉沙…お前に
出会えたんやな。
莉沙はいきなり俺の前にしゃがみ込んだと思ったら、
俺の歌…
一生懸命聞いてくれとった。
多分同情されてるんやろなぁ、
そう思いながらも俺は本間に嬉しかった。
莉沙は歌い終わるまでずっと涙ぐんで俺の歌、聴いてくれとって…
そんな彼女の姿が、本間に愛おしくて…
『俺らの恋』は始まった。
こん時は、まだ知らんかった…
これが『悲しい恋』になるなんて、
知らんかったんや。
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