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「亮…ちゃん?」
俺は誰かの声でハッとし、
勢いよく後ろを振り返った。
「…っ、大倉…」
そこには同じメンバーの大倉が立っとった。
大倉はあの日の事故以来、俺を心配してか
毎日マンションに遊びに来ては
「ちゃんとメシ食わなあかんで!」
って、こんな俺にご飯作ってくれた。
俺は大倉がおったからこの一年間、こうやって生きてこれたんやと思う。
それくらい俺にとっては大事な存在。
「こんな所で何してるん?風邪引くで」
大倉は、また料理作りに来てくれたみたいで
両手にはスーパーの袋持って立っとった。
「今日はカレーやで!むっちゃうまいのん作ったるからなー」
そう言うた大倉は本間に可愛い笑顔をしてて…
今の俺には、そんな嘘偽りのない大倉の笑顔が…
本間に辛かった。
「…」
「亮ちゃん?どないしたん」
目線をなかなか合わせへん俺を不思議に思ったのか、
心配そうに見つめる大倉。
「俺はな…」
そんな大倉を見て俺は口を開いた。
「俺はな、季節巡って命巡ったら…またアイツに…莉沙に会えるって信じてんねん」
「え…」
大倉は、俺がいきなり莉沙の名前出したもんやから
かなり驚いた様子でこっちを見た。
「せやけど、せやけどな…」
俺はそのまま、溢れ出す涙を堪えて話を続けた。
「もうこんな雨に1人やったら…切なくて、歩かれへん…」
そう言うた瞬間、堪えてた涙が一気に流れた。
もう我慢出来んかった。
俺の心は…
もう、ボロボロやった。
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