大阪レイニーブルース

9/12
前へ
/54ページ
次へ
        「莉沙のおらん人生なんかな、死んだほうがマシやねん…」       俺がそう言うた瞬間やった。       …ボコッ‥       俺は大倉におもいっきり殴られて 地面に倒れ込んだ。       「痛っ…」       俺はヒリヒリ痛む頬を、手で押さえた。     口は少し切れてて、 血が出とった。       「何もグーで殴る事ないやん…」     「亮ちゃん痛いやろ?痛かったやろ?!だって亮ちゃん生きてんねんもん。そら痛いでな?」       なぜか真っ赤な大倉の目。       「なんでお前が泣くねん…」     「亮ちゃん、死んだら本間に終わりやで?俺がこうやって殴っても、痛いなんて分からんねんでっ…」       大倉の言葉が胸に突き刺さる…     それでも大倉は容赦なく話を続けた。       「亮ちゃんよう考えや…?亮ちゃんが莉沙ちゃんの幸せを願ってたのと同じで、莉沙ちゃんだって亮ちゃんの幸せ願っとるんやで」     「だから…何や…」     「せやから亮ちゃんは、莉沙ちゃんの為にも幸せになったらなあかんねん!」     「…」     「亮ちゃんが莉沙ちゃんの分まで生きたらんで、どないすんねんな…」       大倉は流れる涙を堪えながらそう言うと       「ほな俺は部屋でカレー作って待ってるから、…後は亮ちゃん次第やで」       って、屋上から出て行ってもうた。       雨はすっかり止んどった…      
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!

325人が本棚に入れています
本棚に追加