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「毎日毎日、八つ当たりされとったら俺やって疲れんねん。さゆみの気持ちも分かるけど、自分勝手やねん」
『何それ?全然分かってないじゃん!八つ当たりなんかしてないし、自分勝手な事したつもりもない。忠義が悪いんだもん…』
「あーはいはい。もう分かった!俺が全部悪い!これでええやん。はい、終了」
『良くないよ!悪いなんて思ってもないくせに…なんでそんな「さゆみと二人暮らしなんかせんかったら良かったわ」
言うた瞬間ハッとした。これは冗談でもキツい…もちろんそんな事、一度も思った事ない。けど後悔した時にはすでに遅くて、さゆみの頬には一筋の涙が流れとった。
あ、俺が泣かしたんや…そう思うと胸が締め付けられた。
やって俺は、さゆみを泣かせるために大阪に来てもらった訳でもなければ、傷付つけるために二人暮らしを始めた訳でもない。
ただ幸せにしてやりたくて、…やのに俺、全然あかんやん。さゆみの事、泣かせてばっかりで…最低やな、
「…ちょっと頭、冷やしてくるわ」
俺はただ泣いてるさゆみを見てる事しか出来ひん自分が本間に情けなくて、そのまま外に出た。いや、逃げたんや。…俺はズルい。
ドアの閉まる音がよりいっそ俺の胸を苦しくさせた。
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