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翼に連れてこられたのは、芝生が気持ちよさそうな中庭だった。
所々ベンチも置いてあり、休憩するのにぴったりの場所だと思うが、放課後だからか驚くほど人気がない。
「ここは司堂先輩のお気に入りの場所なんです」
「え?」
俺は戸惑いを隠せないまま、翼を見た。
そんな大事な場所に案内してもらっても良かったのだろうか。
タカはモデルとして、かなり有名だ。
そんな彼がゆっくり過ごせるであろう空間に、土足で踏み込んだ気がして罪悪感を覚える。
「大丈夫ですよ。先輩は心を許した人には寛大ですから」
安心させるように、翼が微笑んだ。
……確かに翼は彼に信用されているのだろうが、俺は翔梧のおまけとしか認識されていない気がする……。
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