†エピソード5† 疑問

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(……マジで早まったかな) 午後の授業をエスケープして、俺は電車で一時間以上かけて聖和学園の前まで来ていた。 普段電車を使わないせいで、やっと門の前にたどり着いた頃には放課後になっていた。 (……気まずい) 見慣れない制服は目立つのか、帰宅する生徒達の視線が痛い。 でも目的を果たすまでは帰れない。 「誰か待ってるんですか?」 「え?」 あまり人目に触れたくなくて伏せていた顔を上げると、滅多にお目にかかれないような綺麗な顔をした男子生徒がいた。 「人を捜してるんだけど」 「誰をですか?俺が知ってる人だといいけど」 無邪気に微笑まれて、ほんわかした気分になる。 (それにしてもいい子だな。初対面なのに) おそらく自分より年下だと思われる少年に俺は笑みを返した。
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