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(こんなん、ありか!?)
担任と一緒に入って来た少年を見た瞬間、自分の目を疑った。
(滅多にいないぞ。こんな翔梧並の美形……)
天然なのか、染めているのかはよくわからないが、手触りの良さそうな色素の薄い髪に焦げ茶の瞳。
甘く整った顔立ち。
翔梧とは正反対な魅力を持つ美形だ。
教室の隅の方から、女の子達の黄色い声が聞こえる。
彼女達の『いい男チェック』はすでに始まっているらしい。
「今日からこのクラスの一員となる藤堂皐月(とうどう さつき)君だ。皆んな仲良くするように」
ザワザワと騒がしい教室の声を遮るように、担任が声を張り上げる。
(この騒ぎをなんとかしてくれ……)
元々、あまり騒がしいのが好きではない俺は、今の現状にうんざりしてくる。
女子はイケメンな転校生に興味深々だし、男子は変な時期の転校生に好奇心を刺激されたようだ。
これでは騒ぎを納めようという方が無謀というものだろう……。
はぁ…とため息を吐くと、件の転校生とばちっと目が合った。
彼はにっと不敵な笑みを見せた。
(……ん?)
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