†エピソード1† 転校生

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なんか今、俺のことを見て笑ったような気がするのは気のせいか……? チラッと彼の方を見ても、何事もなかったかのように前を真っ直ぐに見ている。 何か釈然としないものを感じつつも、ここまでくると単純に俺の見間違いなのかとさえ思えてくる。 「藤堂君、一言挨拶をしてもらってもいいか?」 担任の言葉に、彼は軽く頷いて教壇の前に立った。 「初めまして。藤堂皐月です。こんな時期からの編入ですが、よろしくお願いします」 にこっと爽やかな笑みを浮かべて藤堂は軽く頭を下げた。 (……っ!) この声……。 心臓がどくんと音をたてた。 何故かはわからないが、妙にドキドキする。 何度も聞いたあのCMの声とは違うのに、なんでこんなに胸が高鳴るのだろう。 (どうして……) 自分の反応を自分で理解出来ない。 俺は『あの声』じゃなくてもいいのか? 所詮、代替えがきく物なのか? そんなつもりじゃなかったのに……。
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