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なんか今、俺のことを見て笑ったような気がするのは気のせいか……?
チラッと彼の方を見ても、何事もなかったかのように前を真っ直ぐに見ている。
何か釈然としないものを感じつつも、ここまでくると単純に俺の見間違いなのかとさえ思えてくる。
「藤堂君、一言挨拶をしてもらってもいいか?」
担任の言葉に、彼は軽く頷いて教壇の前に立った。
「初めまして。藤堂皐月です。こんな時期からの編入ですが、よろしくお願いします」
にこっと爽やかな笑みを浮かべて藤堂は軽く頭を下げた。
(……っ!)
この声……。
心臓がどくんと音をたてた。
何故かはわからないが、妙にドキドキする。
何度も聞いたあのCMの声とは違うのに、なんでこんなに胸が高鳴るのだろう。
(どうして……)
自分の反応を自分で理解出来ない。
俺は『あの声』じゃなくてもいいのか?
所詮、代替えがきく物なのか?
そんなつもりじゃなかったのに……。
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