4人が本棚に入れています
本棚に追加
毎日戦場に駆り出され、味方の兵は少なく、毎日独りで戦っていた。
龍の力があるのでどんなに切られようと死に絶えることは無かった。例え心臓を貫かれようとも。
『何故、人間とはこのように儚いものなのか…。』
自分の手にかかり絶えていく命に果てしない虚しさを感じながらどうしようもない程心を引裂かれ、涙を流しながら命の火をひとつ…またひとつ、消していった。
『私は死なないのだから…もう…来ないで…!!』
その祈りをかき消すように敵の兵士の断末魔だけが響いた。
『…早く…終わらせないと…血が…足りなくなっ…テ…しマウ…』
独りで数千の兵士を相手にすれば当たり前だが、アテナの身体はボロボロになっていた。
人間であればすでに力尽きておかしくない程血液が流れ出ていた。
『身体ガ…保タヌ…龍ガ…出テシマウ…!』
アテナの『器』が限界を迎えたそのときは龍の鳴き声と共に少女の姿は無くなり、あの龍の姿になるのだった…。
最初のコメントを投稿しよう!